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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第26章 「愛ほど歪んだ呪いはない」


「……硝子さんは、死者の蘇生なんてありえないって言ってましたけど」

「私は……もし、本当にそんなことができたら。……喜ぶ人も、いるんじゃないかなって」



言ってしまってから、ハッとした。


(私、なんてことを……)


死者への執着が「呪い」を生むことを、呪術高専にいる私が一番わかっているはずなのに。
こんなの、命の理を捻じ曲げる考え方だ。


須和さんは、ピタリと足を止めた。
振り返ったその顔には、明らかな驚きの色が浮かんでいた。
その反応に、私は慌てて両手を振った。



「あ、す、すみませんっ! 私、変なこと言いましたよね……っ」

「忘れてください。命を軽く見てるわけじゃなくて、ただ、その……」



しどろもどろになって俯くと。



「……いや。謝ることはないよ」



降ってきた須和さんの声は、ひどく穏やかで、静かだった。



「私が医師を志したのはね。姉のためなんだ」

「お姉さん……ですか」

「うん。私が高校生の時に、不慮の事故で亡くなってね」



須和さんは、石畳の先に視線を落とした。



「歳はだいぶ離れていたけれど、すごく優しい姉だった。……大好きだったよ」



その横顔は、テレビで見る天才研究者でもなく。
さっき医務室で未知の現象に熱を上げていた科学者でもなかった。
ただ大好きだった家族を想う、一人の弟の顔をしていた。


(……そっか)


だから、須和さんは『死』を必死に再生医療で克服しようとしているんだ。
大切な人を失う悲しみを知っているから。



「だから、君が言った言葉は……残された人間にとっての、当たり前で切実な願いだ」

「誰だって、一度くらい考えるものだよ。死んだ人が戻ってきてくれたらって」



須和さんは私に向き直って、ふっと柔らかく目を細めた。



「さんは、なんだか姉に似ている」

「……え?」



思いがけない言葉に、私は須和さんを見上げた。



「顔が似ているわけじゃないんだけどね。なんていうか……」



須和さんは、私の顔をじっと見つめる。
その視線が、ふわりと私の目元を撫でるように動いた。
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