第24章 「可惜夜に眠る 後編②**」
「うーん、そうだなぁ。……僕は、世界中の美味しいスイーツをいくら食べても太らない体」
「……それ、もうほとんど叶ってませんか?」
「そう? あとは……」
「願い事は、一個だけですよ」
「僕、そういうルールで縛られるの嫌いなんだよね」
「そんな、むちゃくちゃな……」
髪を撫でていた先生の手が、今度はそっと頬に触れた。
少しだけ顔を上げると、蒼い瞳と視線がぶつかる。
「……今、僕の腕の中にいるおてんば娘が、ずっと一緒にいてくれますように」
そう囁かれた瞬間、胸の奥がきゅうっと甘く痛くなる。
私だけがそう思ってたんじゃなくて、先生も同じことを願ってくれてたんだって。
(うれしい……)
うれしいのに、まともに受け止めるには恥ずかしすぎて。
「……っ、私、おてんばじゃないです」
「えー? こんな夜更けに男の部屋に忍び込んでくるなんて、警戒心ゼロでしょ。襲われても文句言えないよ?」
「お父さんとお母さんに教わんなかった?」
「……うっ」
夜中に一人で会いに来た自分のことを思うと、全然強く否定できなかった。
先生には全部見透かされてるようで、なんか悔しい。
だから、ついむきになって――
「……先生になら、別に襲われてもいいもん」
そう言った瞬間、私の頬に触れていた先生の手が止まった。
(……っ! 私、いま、なんて……!)
自分で言った言葉の意味に気づいて、慌てて口元を両手で塞ぐ。
先生の心臓の音が、少しだけ速くなったような気がした。
頬を撫でていた指が、ゆっくりと顎の線をなぞって。
そのまま、くいっと顎をすくい上げられた。