第24章 「可惜夜に眠る 後編②**」
「ううん。私も、ごめんなさい」
その大きな背中にそっと腕を回した。
「痛かったけど……先生だったから。嫌じゃ、なかったです」
「……それに」
前みたいに、余裕のない先生を思い出してしまう。
苦しそうなくらい必死に、私に触れてきた。
いつもの余裕なんて少しもなくて、ただ私を離したくないみたいだった。
あんなふうに求められたことに、少しだけどきっとしてしまったなんて。
そんなこと、言えるわけない。
先生の胸元に顔を押しつけて、首を振った。
「……やっぱり、なんでもない」
その瞬間、頭の上にふっと吐息が落ちる。
「……まぁ、また余裕なくなってしちゃうかも」
「え……?」
「冗談。が嫌がること、もう絶対しないから」
そのまま、頬に唇が触れる。
ちゅ、と短いキス。
もう一度。
今度は耳の近くに。
「ね、今させて?」
その声が耳に落ちた瞬間、身体が熱くなる。
でも、すぐ隣は伏黒くんたちの部屋だ。
私がもし、変な声を出しちゃったら……
「……み、みんなに気づかれるかも」
不安で少し身を縮めると、先生がくすっと笑った。
「大丈夫。この部屋、防音ちゃんとしてるから」
安心させるみたいに、何度もやわらかいキスが落ちてくる。
なんか、くすぐったい。
「お願い。……しよ?」
少しだけ首を傾げて、先生が私を覗き込む。
白い髪がさらりと揺れて、その蒼い瞳がまっすぐに私を捕まえた。
(う、その顔は……ずるい)
反則なくらい、綺麗な顔。
私がこういうのに弱いって、きっと分かってやってる。
あんな声で囁かれて。
そんなふうに見つめられたら。
もう、頷くことしかできなかった。