第24章 「可惜夜に眠る 後編②**」
部屋の外に出ると、すっかりみんな寝静まって、しんと静まり返っていた。
一番奥にある先生の部屋を目指す。
(寝てたら……その時は諦めて戻ろう)
先生の部屋の前で足を止めて、小さく深呼吸を一つ。
抱えていた枕を片手で持ち直し、そっとドアを叩いた。
コン、コン。
返事はない。
やっぱり、寝てるよね。
部屋に戻ろう。
そう思った、その時だった。
内側から鍵の開く音がして、ドアがゆっくりと開いた。
そこに立っていたのは、少しだけ目を丸くした先生。
薄手の黒いシャツに、ラフなスウェットのパンツ姿。
前髪がわずかに目元へかかっていて、その隙間から蒼がのぞいている。
「……?」
先生の視線が、私の顔と抱えている枕を行ったり来たりしている。
「あ、あの……えっと……」
その顔を見た途端、急に恥ずかしくなった。
パジャマ姿で、枕まで抱えて。
こんなの、一緒に寝てほしいって言ってるようなものじゃん。
「……や、やっぱり、なんでもないです! おやすみなさいっ、戻りますっ」
耐えきれなくなって、踵を返そうとしたそのとき。
「わっ……」
振り返るより早く、空いている方の手首をぐいっと掴まれた。
「真希たちの寝言、すごいんでしょ?」
「な、なぜ、それを……!?」
「昨日さ、恵が死にそうな顔で報告しに来たんだよね」
先生が、少しだけ呆れたみたいに笑う。
「合宿所の壁、思った以上に薄いらしくてさ。女子部屋の騒音がダイレクトに響くらしくて」
「恵は二晩続けて寝不足で本気でキレてたよ。、気づかなかった?」
(そうだったんだ……)
この連日は、体も心もくたくたで。
毎晩ほとんど気絶したみたいに眠っていた。
だから、二人の寝相と寝言に今日やっと気づいたのだ。
「だから、が寝れなくて逃げてくるんじゃないかなーって。……ちょっとだけ、期待してた」
先生は私の手を引き、部屋の中へ招き入れた。