第24章 「可惜夜に眠る 後編②**」
「まぁ、あれはちょっと反省してる」
視線を砂浜へと戻し、小さく息を吐いた。
生徒たちが筒状の大きな打ち上げ花火を砂に突き刺して、なにやらワイワイと準備を始めている。
「……五条、この合宿。もしかしてのために計画したのか?」
「うーん。まあ、半分は正解かな」
「半分、ねぇ」
呆れたように鼻を鳴らす硝子に、僕は手すりを指先でとんと叩いた。
「転んだ子に手を貸すのは、簡単なんだよ」
頭を撫でて、抱きしめて、甘やかしてしまえばいい。
僕が全部背負って、鳥籠に入れて守ることはいくらでもできる。
「でも……一人で立ち上がる方法を教えるのは、簡単じゃないんだよね」
僕の言葉に、硝子も砂浜へ視線を向けた。
が着火用の花火を片手に、少し腰を引いていた。
悠仁に急かされて、恐る恐る打ち上げ花火に火を近づけている。
硝子は缶ビールを揺らしながら、ふっと表情を緩めた。
「でも、はもう自分で立てるだろ」
「……うん」
今日、彼女は過去と向き合い、自らの意志で海の中から立ち上がった。
もう、僕が無理やり繋ぎ止める必要はない。
(それにしても……)
沿岸沿いの道での、あの盛大な告白。
涙で顔をぐしゃぐしゃにして、僕に向かって不器用に。
でも、真っ直ぐにぶつけてくれた言葉たち。
あの子は今日、自分から僕の手を掴んでくれた。
両親のことも。
ずっと胸の奥に閉じ込めていた痛みも。
僕に話してくれた。
少しずつ。
彼女の世界の中に、僕が隣にいる場所が増えていく。
そう思うだけで、どうしたって口元が緩んでしまう。