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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第23章 「可惜夜に眠る 後編①」


「お父さんとお母さんに手紙を書いて、二人の前でそれを読み上げることになってて……」



目を閉じると、潮騒の音が遠のいて。
代わりに、ざわざわとした教室の空気と、あの日の匂いが蘇ってきた。












(……ない、ない……!)


授業参観が始まる直前の教室で、私はランドセルの中をぐちゃぐちゃにひっかき回していた。
教科書の間も、ノートの間も、筆箱の中まで見たのに。
昨日、夜遅くまで一生懸命書いた手紙が、どこにもない。



「ちゃん、どうしたの?」



隣の席のミホちゃんが、不思議そうに覗き込んでくる。



「お手紙……お家に、忘れちゃったかも」

「え!! もうすぐ授業始まっちゃうよ」



ミホちゃんが、目を丸くして口元を押さえる。


(どうしよう)


朝、お母さんに『忘れ物ない?』って聞かれたのに。
あんなに頑張って書いたのに。


慌てて後ろを振り返る。
教室の後ろには、もうお母さんが来てくれていた。
でも、お仕事から早退してくるはずのお父さんの姿は、まだなかった。


私は席を立って、お母さんのところへ駆け寄った。



『おかあさん……っ、お手紙、忘れちゃった』

『えっ? 机のお道具箱にもないの?』

『うん。……たぶん、お家の机の上……』



半泣きの私を見て、お母さんは困ったように笑って、頭を撫でてくれた。



『そっか。じゃあ、お父さんに電話して、来る途中に持っきてもらうようにお願いしてみるね』



そう言って、お母さんは廊下に出て、携帯で電話をかけてくれた。
私は教室の入り口で、落ち着かないままその背中を見つめていて。


少しして、お母さんが戻ってきた。



『お父さん、持ってきてくれるって』

『ほんと? よかったぁ……』



へなっと力が抜けるみたいに息をつくと、お母さんは私のおでこを指先で軽くつついた。



『もう、気をつけなさいよ、』

『……はぁい』



でも。
授業参観が始まっても、お父さんはなかなか現れなかった。
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