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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第23章 「可惜夜に眠る 後編Ⅰ」


「みんなみたいに呪力もないし、強くないし、体力もないし……っ」

「怖がりだし……泣き虫だし……っ」



頬を伝う涙が止まらない。
それでも、途切れそうになりながら、必死に言葉を押し出した。



「先生にも……ひどいこと言って、傷つけて……っ」

「……全然、向いてないかもしれないけど……っ!」



声が裏返って、しゃくり上げるような息が漏れる。


それでも。
逃げたまま、終わりたくない。


先生が何度も差し出してくれたその手を。
今度こそ、私から掴みたいから。



「私……っ」



涙で視界がぐしゃぐしゃに滲んでも。
目の前に立つ先生から、絶対に目を逸らしたくなかった。



「先生の隣で……ちゃんと、生きていきたいです……っ」



最後は、ほとんど叫ぶみたいな声だった。
静かな海沿いの道に、私の声だけが痛いくらい響いて、波の音に溶けていく。


荒くなった呼吸を繰り返しながら、ただ先生だけを見ていると。
数歩先に立っていた先生が、ゆっくりこっちへ歩いてきた。
アスファルトを踏む足音が、ひとつ、またひとつ近づいて。
目の前で、止まった。



「……はぁ、遅いよ」



落ちてきたのは、呆れたみたいな大きなため息。


(あ……やっぱり、怒ってる)


慌てて涙を拭う。
でも、拭っても拭っても、また滲んでくる。


こんなことで、許してもらえるわけない。
あんなひどいこと言ったのに。
今さら「隣にいたい」なんて、都合よすぎるよね。



「ごめんなさ――」



そう言いかけた瞬間、ぐいっと腕を引かれた。
鼻先が、固い胸板にぶつかる。



「……っ」



背中に、大きな腕が回されて。
さっき廃ビルで受け止めてくれた時よりも、ずっと強い力。
すっぽりと、先生の腕の中に閉じ込められた。
大好きな先生の香りが、一気に私を包み込む。



「やっと言えたね」



頭の上から降ってきた声に、 昨日の冷たさは欠片もなくて。
甘くて、優しくて、どうしようもなくあたたかかった。
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