• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第23章 「可惜夜に眠る 後編Ⅰ」


「これ、捨てに行って……それで……」



ぼろりと目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。



「カイザー……っ」



お姉さんは、上着ごと骨と首輪を両腕でぎゅっと抱きしめた。
そのまま、玄関の上にへたり込む。



「ごめんね……っ、私のために……ごめんねぇ……っ!」



声を出して、子供みたいに泣きじゃくるお姉さん。
その姿を見た瞬間、胸の奥がぎゅうっと痛んだ。


知らなければ抱えなくて済んだ痛みまで、私はお姉さんに渡してしまったのかもしれない。


それでも。


「呆れて逃げたんだ」って、自分を嫌いになったまま生きていくより。
痛くても。苦しくても。
こんなにも大事に想われていたんだって、知ってほしかった。


その愛された記憶を抱きしめることができれば、お姉さんはきっと、前を向いて生きていけるから。
それに、カイザーくんも――ずっと待っていてくれた大好きな家族のところへ、やっと帰ってこられたんだ。


(私も……いつか、お父さんとお母さんを――)


込み上げるものを飲み込んで、私は泣き崩れるお姉さんの背中にそっと手を伸ばした。
お姉さんが私にしてくれたみたいに。





「……」

「二人きりにさせてあげよう」



先生のその言葉に、「……はい」と小さく頷いた。
骨を抱きしめて泣き続けるお姉さんの背中から、そっと手を離した。
立ち上がって、玄関を出ようとした、その時。



「……ちゃん」



涙で震える声に、足を止める。
振り返ると、お姉さんが顔をくしゃくしゃにして、私を見ていた。



「ありがとう。……カイザーを、送り届けてくれて」



ううん。こちらこそ、ありがとう。
お姉さんが、背中を押してくれたから。
私は今、逃げずにここに立っていられる。


言葉にするとまた泣いてしまいそうで。
ただ深く、深く頭を下げた。


お姉さんは腕の中の小さな骨と首輪を、もう一度強く抱きしめると。
自分の頬をすり寄せるようにして、優しく囁いた。



「おかえり、カイザー」



そのあたたかい声を聞き届けて。
私たちは、静かにドアを閉めた。
/ 800ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp