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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第23章 「可惜夜に眠る 後編①」


「……ツナマヨ」



ひどく掠れて、枯れた声。 
痛々しいほど消耗しているはずなのに。
先輩は私に向かって、力強く親指を立てて笑ってくれた。



「さーて!」



先生が、ポンッと軽く手を叩いた。



「明日にはもう東京に帰るし。みんなよく頑張ったご褒美として……今日の夜は、僕の別荘で過ごしていいよ!」

「マジで!? よっしゃー!」



虎杖くんが、疲れも忘れたように両手を突き上げて喜ぶ。



「当然よね! ふかふかの高級ベッドで爆睡してやるわ!」



野薔薇ちゃんも、顔をぱっと輝かせた。



「ったく……。ほら、さっさと帰ろうぜ」



真希さんが、呪具を肩に担ぎ直して踵を返す。 
パンダ先輩や伏黒くんたちも、それに続いて廃ビルの出口へと歩き出した。
コンクリートに響く足音が、段々遠ざかっていく。



「僕たちも帰ろう。……歩ける?」
 


先生の腕が、もう一度私の身体を支え直す。
返事をしようとしたけど。
さっき呪霊を送った時、一緒に流れ込んできた記憶。
暗い場所で、ひとり取り残されたままの、小さな気配。


(……まだ)


先生の腕から、そっと身体を離した。



「? どうしたの?」



先生が不思議そうに、少しだけ身をかがめて顔を覗き込んでくる。
私は階段の奥を見たまま、ゆっくり首を横に振った。



「……まだ、帰さなきゃいけない子がいるんです」



そう言って、崩れた瓦礫のそばへ近寄った。
膝をついて、そっと手を伸ばす。
瓦礫の隙間に残されていた、ちいさな痕跡。
それをひとつずつ拾い上げ、着ていた制服の上着で、大切に包んだ。


先生は何も聞かず、ただ黙ってそばにいてくれた。
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