第23章 「可惜夜に眠る 後編①」
大好きで、いちばん会いたかった人。
「……せん、せい」
私の掠れた声に。
先生は、口角を上げてふっと笑った。
そして、私を腕の中に抱きとめたまま、みんなに向かってひらひらと片手を振る。
「はーい! みんな、お疲れサマンサ〜!」
静まり返っていた廃ビルに、先生のやたらと明るい声が響き渡った。
「お、せんせー!」
虎杖くんが、パッと顔を輝かせて手を振る。
先生は私を片腕で支えたまま、満足げに大きく頷いた。
「うんうん、みんなよく頑張ったね! こんなに完璧に一掃できるなんて、やっぱり僕の教え方がいいからかなー?」
「「……はぁ?」」
真希さんと野薔薇ちゃんが、まったく同じタイミングで心底嫌そうな声を出した。
いつもの、みんなのやり取り。
張り詰めていた空気が、一気に日常の温度へと戻っていく。
伏黒くんが、少し息を整えながらこちらへ近づいてきた。
「、大丈夫か? ……お前に、相当無理させた」
その瞳に、申し訳なさそうな色が滲んでいる。
私は、先生の腕に少しだけ寄りかかったまま、小さく首を横に振った。
「ううん、大丈夫。安心したら、力が抜けちゃって……」
「そうか」
伏黒くんが、ホッとしたように肩の力を抜く。
「それより、狗巻先輩は……?」
さっき、特級相当の呪霊を無理やり一つにまとめるために、大量の血を吐いていた。
心配で声をかけると、狗巻先輩がこちらを向いた。