第23章 「可惜夜に眠る 後編①」
「だったら――」
呪霊をいなしていた伏黒くんが、鋭い声で言った。
「こいつら……一つにしましょう」
「冗談でしょっ!」
野薔薇ちゃんが、信じられないという顔で振り返る。
私も思わず、伏黒くんを見た。
その瞳は、まっすぐに溢れ出す呪霊の群れを見据えていた。
「伏黒、どういう意味だよ!」
虎杖くんが、目の前の呪霊を力任せに押し返しながら叫んだ。
「このままじゃキリがない。いくら送れても、の体力が先に尽きる」
伏黒くんは、冷静な声で言葉を紡ぐ。
「元は、こいつら全員が同一個体から分裂した呪霊だ。攻撃や呪力を吸って『分裂』したんなら、逆もできるはずだろ。……一つにまとめることも」
「一つにして、一回で終わらせるってことか! でも、この数だぞ!」
真希さんが、大刀の柄で呪霊を殴り飛ばしながら声を荒げた。
「全部合わせたら、総量でいえば特級相当の呪力になるぞ!」
「特級……」
その言葉に、胸の奥がぎゅっと縮こまった。
「む、無理だよ……っ。特級レベルの呪霊なんて、私、送ったことないし……!」
今まで私が送ってきたのは、低級から、ギリギリ2級くらいまでの呪霊だけだ。
特級なんて、私の力で抱えきれるわけがない。
指先から溢れていた光が、不安に揺れてしぼみそうになる。
でも、伏黒くんは私をまっすぐに見つめ返した。
「。お前の力は、呪力で殴り合うわけじゃない。……魂に直接触れる力だ」
「魂、に……」
「魂を送るのに、呪力量の大小なんて関係ないんじゃないか?」
伏黒くんは、そこでふっと息を吐いた。
「……って、あの人が言ってた」
「え……先生が?」
でも、伏黒くんや先生の言う通りかも。
私の力は、物量で破壊することじゃない。
ただ寄り添って、迷っている魂をあるべき場所へ還してあげること。
「なるほどな」
パンダ先輩が、納得したように大きく頷いた。