第23章 「可惜夜に眠る 後編Ⅰ」
「失敗した後で、またみんなで考える! だから、ビビってないで思いっきりやりなさいよ」
「……野薔薇ちゃん」
その直後だった。
ドドドドドッ……!
階段の奥から、ビル全体を揺らすような地鳴りが響いた。
見上げると、上の階にいた呪霊の群れが、雪崩のように押し寄せてきている。
津波のように重なり合って、1階のフロアへ溢れ出した。
「こいつらをビルの外に出すと面倒だ! 時間ないぞ!」
パンダ先輩が叫んで、両腕を大きく構える。
それに合わせて、伏黒くんが鋭い声でみんなに呼びかけた。
「の負担も考えて、これ以上数を増やさないように押し留めろ!」
「おうっ!」
虎杖くんが力強く返事をして、階段の前に立ち塞がる。
真希さんが大刀を構え直し、狗巻先輩もスッと前に出た。
野薔薇ちゃんも釘を指に挟んで、私の前に立つ。
みんなが私を真ん中にして。
階段から溢れ出してくる呪霊の波に向かって、一斉に壁を作ってくれた。
(みんな……)
手のひらの震えが、少しずつ止まっていく。
じんわりと、指先にあたたかい力が戻ってくるのを感じた。
一人じゃない。
失敗しても、笑って背中を叩いてくれる人がいる。
なら――
私は、私のやるべきことを。
「……お願いしますっ!」
大きく、はっきりと頷いて。
手のひらの汗を制服のスカートで乱暴に拭った。
「よし、作戦開始だ!」
虎杖くんの声に合わせて、みんなが一斉に前へ踏み出した。