第23章 「可惜夜に眠る 後編①」
「『みんなで協力してね』って、言ってたわね」
「いや釘崎、協力して祓った結果がこれだろ!?」
虎杖くんが、わしゃわしゃと髪を掻きむしりながら叫んだ。
手分けして、それぞれのやり方で祓おうとした。
でも、その結果が、この無限に増殖する呪霊の群れだ。
「違う。そこじゃない」
伏黒くんが 虎杖くんの言葉を、ぴしゃりと遮る。
「俺たちは『協力して祓う』ことだと思い込んでた。でも、あの人は一度も『祓う』とは言わなかった。……『きれいにしろ』と」
「それに、一人だけいるだろ。規格外の力を持ってるのが……」
そこまで言って、伏黒くんは私の方へ視線を向けた。
「え……わたし?」
「。お前の力なら、この呪霊……分裂させずに送れるんじゃないか?」
全員の視線が、一斉に私に集まる。
「そ、そうかもしれないけど……! こんなにたくさんの数を送ったこともないし、それに……っ」
言葉を濁して、ぎゅっと自分の指先を握りしめる。
(……また、送れなかったら)
昨日の、廃村での記憶が蘇る。
私が両親の死から目を背けたせいで、花が散ってしまった。
もし今回も、失敗したら。
この増え続ける呪霊の群れのど真ん中で、みんなを危険な目に遭わせてしまう。
(怖い。……やっぱり、私なんかに)
無意識に一歩、後ろへ下がろうとした瞬間――
トンと背中に、誰かがぶつかった。
振り返ると、真希さんが私の後ろに立っていた。
「どこ逃げようとしてんだよ」
「……だって……」
声が掠れて、続きが出ない。
「失敗したら、って?」
「……みんなを、危険にさせたくない」
声が、小さく震える。
すると、虎杖くんがケラケラと笑った。
「もう俺ら、散々やらかして全員ピンチじゃん。今さらなんて誤差だろ、誤差!」
その言葉に、張り詰めていた空気がふっと緩んだ。
すると、野薔薇ちゃんが、突然私の背中をバンッと叩いた。