第23章 「可惜夜に眠る 後編①」
床に転がった、白い破片。
砕けた腕。半分になった頭部。
それらが、カタカタと不自然に震え始めた。
「パンダ先輩っ!」
「あ?」
振り返ったパンダ先輩の目の前で。
砕けた破片の断面から、新しい白い関節がメキメキと伸びていく。
顔の破片からは胴体が。
腕の破片からは新しい顔が生まれた。
「なんだこいつら、分裂したぞ」
驚くパンダ先輩に、複数に増えた呪霊が一斉に飛びかかる。
「これならどうだ!」
パンダ先輩の連続の打撃が、呪霊たちを次々と壁や床に叩きつける。
殴る、蹴る、砕く。
そのたびに、呪霊の体は四散していく。
でも。
飛び散った破片は、またすぐに元の大きさの呪霊へと再生してしまう。
一匹が三匹に。
三匹が十匹に。
十匹が、あっという間に数十匹に。
『……ちょぉぉだぁい……ちょぉぉだぁぁぁい……』
『ちょぉぉだぁい……!』
気づけば、3階の広い廊下は、うじゃうじゃと蠢く真っ白な呪霊の群れで埋め尽くされてしまった。
「式神、でしょうか……? 祓えば祓うほど、増えていくなんて」
じりじりと後ずさりしながら、小太刀を強く握り直した。
「うーん……」
パンダ先輩は、困ったようにぽりぽりと頭を掻いた。
「これじゃ、闇雲に手出しができんなぁ」
カチャカチャと不気味な音を立てて迫ってくる白い群れ。
パンダ先輩は廊下の奥を一度睨みつけてから、私のほうを振り返った。
「一度、1階に戻って真希たちと合流するぞ」
「……はいっ」
私たちは、階段の方へと向き直った。