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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第23章 「可惜夜に眠る 後編①」


あの冷たい海の底で、ずっと迷子になっているお父さんとお母さん。



「お父さん、お母さん……」



ゆっくりと足を止めて、両手を顔の前にかざした。



「私に、できるかな」



震える手のひらを、じっと見つめる。


(強くなりたい)

 
お姉さんみたいに。
虎杖くんみたいに。
真希さんみたいに。


そして――


いつかは、先生みたいに。

 
(……私も、前を向いていけるかな)

 
弱いまま、泣いたままでも。
足が震えていても。
それでも、少しずつ。

 
ふいに、お姉さんと硝子さんの言葉がよみがえる。



『ちゃんの、その大好きな人? ……ちゃんのこと、めちゃくちゃ好きだよ、それ』

『五条は、が思ってる以上に……お前に惚れてるよ』

 
(……先生)


胸の奥に溜まっていた息を、ゆっくり吐いた。
一度、二度。
手のひらを握り込んで、指先に力を集める。

 
(今はまだ、できないことばっかりだけど)

 
両手を下ろして、もう一度だけ海を見る。
朝の光を跳ね返して、きらきらしている。
怖いのに――少しだけ、昔のように綺麗だと思えた。

 

「……行ってきます」

 

そう小さく呟いて、もう一度走り出した。


合宿所へ。

みんながいる場所へ。

そして――差し出された手を、今度こそ掴みにいくために。
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