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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第23章 「可惜夜に眠る 後編Ⅰ」


不意に、ジャージのポケットの中でスマホが震えた。


(……あっ)


ティッシュから顔を離して、慌ててスマホを取り出す。
涙で少しぼやけた画面に、メッセージの通知が光っていた。
送り主は、野薔薇ちゃん。



『今どこ?  朝ごはんの後、集合だって』



時計を見ると、もう朝ごはんの時間になっていた。
残っていた涙をぐしぐしと拭い去って、立ち上がった。



「あの、お姉さん」     

「ん?」

「お茶、ごちそうさまでした。……それに、お話聞いてくれて、本当にありがとうございます」



深く頭を下げると、お姉さんは目を丸くして、それからふわりと優しく微笑んでくれた。



「がんばれ、恋する女の子」



その言葉に力強く頷いて、お姉さんの家を飛び出した。
来た道を、全速力で駆け戻る。


夏の生ぬるい風を切って坂道を上り切ると、再び視界が開けた。
遠くに、 朝の光を反射してキラキラと光る、大きな海。
ついさっきまでは、あんなに恐ろしくて、行き止まりの絶望みたいに見えていたのに。



『家族だもん。生きてても、死んでても。どんな形になっててもさ』

『私が待っててあげないと、あの子、帰ってこれないじゃん』



お姉さんの言葉が、頭の中に響く。


(傷つきたくなくて)


自分が一人ぼっちになる現実を認めるのが怖くて。
逃げて、逃げて、逃げ続けてきた。
本当は、そんなことでは何も守れないとわかっていたのに。


(今からでも、遅くないかな……)
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