• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第23章 「可惜夜に眠る 後編①」


「でもさ、わざわざ痛いところを突いて、本気でぶつかってきてくれる人なんて……」



お姉さんの手が止まって、まっすぐに私を見た。



「その人のこと、本当に大事に思ってないと、絶対にできないよ」



先生はあの時、一番触れられたくないところを抉ってきた。



『いつまで過去の亡霊に取り憑かれてんの?』

『自分の殻に閉じこもって、他人に理解されないって嘆いて』



あれは、私がいつまでもウジウジしてたからじゃなくて?
私を、ただの「かわいそうな子」として扱わずに。
間違った方向に進まないように?


(先生……っ)


もう一度、涙がこぼれ落ちる。
さっきまでの後悔とは違う。
あたたかくて、どうしようもない感情が押し寄せてくる。
両手でティッシュを握りしめたまま、小さく震えた。



「だからさ」



お姉さんが、私の背中をぽんっと叩いた。



「ちゃんも、その人に思いっきりぶつかってみたら?」

「……ぶつかる?」



ぐしゃぐしゃの顔を上げて、聞き返す。



「そう。自分の気持ちとか、ずっと抱えてきたこと、全部。その人なら、受け止めてくれるんじゃないかな」



お姉さんは、ふふっといたずらっぽく笑った。



「それで本当に呆れられちゃったら、またうちにおいで。一緒にやけ酒でもしよー!」

「朝までとことん付き合ってあげるから!」



からからと、明るい声が部屋に響く。
でも、お姉さんはすぐに「あ」と口元を押さえた。



「って、未成年はお酒飲んじゃダメじゃん!」



あちゃーと頭を抱えるその姿が、なんだかおかしくて。



「……ふ、ふふっ」



ティッシュを顔に押し当てたまま、思わず吹き出してしまった。
さっきまで、あんなに声を出して泣いていたのに。
こんなに自然に笑ったのは、久しぶりな気がした。
/ 687ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp