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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第23章 「可惜夜に眠る 後編Ⅰ」


「ずっと辛い現実から、目を背けて生きてきて……っ」



ポロポロと涙が溢れて止まらない。
それでも、言葉を絞り出した。



「それで、大好きな人が……何度も手を差し伸べてくれたのに……私、つかめなくて……っ」



何度も私の前に差し出された、先生の大きくてあたたかい手。
自分の弱さを隠すために、私はその手すら拒絶してしまった。



「その人は、私に前を向かせようとしてくれてたのに……私、ひどいこと、言っちゃった」



自分が逃げるためだけに、最低な言葉をぶつけた。



「完全に……呆れられちゃったんです……っ」



最後はしゃくり上げるような泣き声になってしまった。



「わわっ、どうした! えっと、ティッシュ、ティッシュ……!」



お姉さんが慌てたように立ち上がって、箱ごとティッシュを差し出してきた。
次から次へと引き出されたティッシュの山が、私の膝の上にポンポンと乗せられていく。



「ずびっ……ひっぐ……ごめんなさ……っ」



ティッシュの山に顔を埋めて泣き続ける私の頭に、ぽんとあたたかい手が乗せられた。



「……まあ、男を見る目がない私が言うのも、なんだけどさ」



ゆっくりと髪を撫でられながら、頭の上から声が降ってくる。



「ちゃんの、その大好きな人? ……ちゃんのこと、めちゃくちゃ好きだよ、それ」


(……え?)


ティッシュから顔を上げて、涙でぼやけた視線をお姉さんに向ける。



だって、あんなに冷たく突き放されて。
もう呪術師をやめろって、言われたのに。
信じられなくて瞬きを繰り返す私を見て、お姉さんは小さく息を吐いた。



「普通さ、傷ついて泣いてる人には、慰める言葉を言うものじゃない」

「『それはあなたのせいじゃないよ』とか、『気にするな』とか、『気持ちわかるよ』とかさ」

「腫れ物に触れるみたいに、適当に優しい言葉だけをかけてさ」



たしかに、そうかもしれない。
優しい言葉で傷口を塞ぐのは、簡単だ。
震災以降、みんな私に気を使って。
おばあちゃんでさえ、私が壊れないように腫れ物みたいに扱っていた。
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