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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第22章 「可惜夜に眠る 中編**」


「……あー、もう」



頭上から、少しイラついた声が降ってきた。
見上げると、先生はガシガシと乱暴に頭を掻いていて。
そして、目隠しを外して、私を見た。



「いつまで過去の亡霊に取り憑かれてんの?」

「のせいであろうと、なかろうと……君の両親は、死んだんだよ。それが事実」



先生はわざとらしく、ひどく冷酷な響きで言葉を続けた。



「かわいそ、のお父さんとお母さん」

「娘がこんなんじゃ、いつまで経っても海で溺れたままだね」



(……っ!)


心の底に沈めて、見ないふりをして。
触れられないように、誰にも見られないように。
ずっと、蓋をしていたのに。
必死に押さえつけていたものが、先生のその一言でせり上がってくる。



「先生に、わかるわけない……っ」



自分でも驚くほど、大きい声だった。



「あー、わかるわけないよ。他人の悲しみなんて」

「だったら、もうほっといてくださいよっ」



視界が涙で滲んで、見下ろしてくる先生の顔が歪む。



「そんな簡単に、割り切れるわけないじゃないですか! 私は、先生みたいに強くない……っ」



ただ自分が弱いだけだって、わかってる。
それでも、無理やりこじ開けようとする先生に、抗わずにはいられなかった。



「……へえ。で? 割り切れないから、悠仁が死にかけても仕方ないって?」

「っ……そんなこと、言ってない」

「言ってるのと同じでしょ。過去を言い訳にして、現実から目を背けてる」

「ちがっ……!」

「自分の殻に閉じこもって、他人に理解されないって嘆いて。悲劇のヒロイン気取り? そうやって自分を哀れんでれば楽だもんね」
 


分かってるよ。
そんなの、自分が一番。


(先生に言われなくたって……)


現実を受け入れて、前を向かなきゃって。
でも、できないの。
どうしていいかわからないの。


ぐっと奥歯を噛んで、目の前の先生をまっすぐ睨み返した。



「じゃあ、先生は……」



その言葉が喉まで上がってきた瞬間、頭のどこかが遅れて警報を鳴らす。

 
(言っちゃだめ……これは、言っちゃだめなのに)


でも、口が勝手に動いていた。
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