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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第22章 「可惜夜に眠る 中編**」


廊下の向こうで、誰かが走る足音。
先生たちがヘルメットを配って、声を張って避難を誘導している。
ざわざわした空気の中で、みんなの顔が青白く見えた。



『、先に避難所へ行きなさい』

『お母さんは、お父さんの様子を見てくるから――』



家に帰ろうとするお母さんの手を、両手でぎゅっと握りしめた。



『やだ、一人にしないで! わたしも行く!』

『地震はもうおさまったから大丈夫よ……でもね、津波が来るかもしれないの。だから、ミホちゃんと一緒に高台の避難所へ行ってて』

『でも……っ』

『あ、ミホちゃんママ。ちょっと、家の様子見てくるから、も一緒に避難所連れてってもらえます?』



私の肩を抱き寄せて、お母さんは友達のミホちゃんのお母さんに声をかけた。
そして、私と同じ目線にかがみ込んで、にっこりと笑う。



『すぐお父さん連れて戻るから、いい子で待っててね』



……「いい子」って、なに。
その時の私は、そんなことばかり考えていた気がする。
いい子でいたら、二人とも戻ってくるの?


握りしめていた手から、あたたかい温度が抜けていく。


(行かないで)


伸ばした手は空を切る。
私に背を向けて、教室の外へ走っていく姿。
それが、お母さんを見た最後だった。



『ちゃん、おばさんと行きましょ』



ミホちゃんのお母さんの手が、私の手首を掴んだ。



『お母さん……!』



私が叫んだ声は聞こえてたのかな。
サイレンと人の声に飲まれて、届いてなかったかもしれない。


私が手を離さなければ、ずっと一緒に過ごせた?


(……ううん、違う)


お父さんだって。
そもそも私が『あんなこと』を言わなければ、家に戻る必要なんてなかったのに。
私が、二人を家に向かわせたから……







「……?」



先生の声で、ハッと現実に引き戻される。



「……っ……」



口に出してしまったら、二人が亡くなった事実が知られてしまう。
先生に。
おばあちゃんに。
みんなに。
そして……
自分がそのことを、受け入れられるの?


(……怖いよ、言えないよ)


また視線を落として、きつく唇を噛み締めた。
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