• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第22章 「可惜夜に眠る 中編**」


「遺体が見つからないっていうのはさ。生き残った側からすると、すごく厄介だよね」

「自分の前に姿を表さないだけで、どこか遠くで生きているかもしれない。残された人間に、そんな希望さえ持たせてしまう」


(……っ)


膝に視線を落としたまま、小さく首を振った。
否定したいのに、うまくできない。


先生の言葉は私のずっと隠していた傷口を、容赦なく抉り開けていく。



「頭では理解してても、心はその残酷な現実を信じたくない」

「『送る』ってことは、その死を受け入れて、終わらせるってことだ。……“まだどこかで生きてるかもしれない”っていう希望を自分で潰すみたいで、怖かった?」



瞬きのたび、涙がこぼれて落ちた。



「……だって、二人、は……」



ずっと心の底に押し込めていた真っ黒な塊が、抑えきれずに溢れてくる。



「私が……あんなこと、言わなければ。津波に巻き込まれることなんて、なかった……っ」



涙が泥の上に落ちて、黒いシミを増やしていく。



「……あんなことって?」

「……何があったの、あの日」



そう言って、先生の大きな手が私の顔に触れた。
親指の腹で、頬にこびりついた泥をゆっくりと拭う。



「……わたし、が……っ」



先生に言っていいのかな。
ずっと蓋をしてきたあの日のこと。
もう、自分じゃ抑えられないの。
この悲しみを、どうしていいかわからないの。


(……お母さん)


目を閉じると、真っ暗な視界の裏に、あの日の記憶が鮮明に蘇る。
けたたましいサイレンが鳴り響いた、あの授業参観の日。
/ 687ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp