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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第22章 「可惜夜に眠る 中編**」


差し出されたその手のひらを、ただ見つめることしかできなかった。
掴めば、この泥の中から引き上げてもらえる。
いつものように、あたたかい先生の隣に帰ることができる。
帰って、みんながいて。
「大丈夫」って言われて、笑って――


(……それで、いいの?)


泥だらけの両手で、自分の膝をきつく掴んだ。



「虎杖くんの怪我……」



掠れた声で、なんとか言葉を絞り出す。



「私のせいなんです」



涙が地面に落ちて、黒いシミを作った。
一滴、また一滴。
泥に吸われて、すぐに形が崩れていく。



「私が……っ」



そこから先が、どうしても続かない。
頭の中にあるのは、言い訳ばかりだ。


この下に眠っている魂に、両親を重ねてしまった。
花が輪にならなかった。
力が、出なかった。


でも、それを口にした瞬間。
「任務より自分の感情を優先しました」って告白するみたいで。


(言えない。こんなの……呪術師失格だ)


唇を噛んで、これ以上泣かないようにするだけで精一杯だった。



「……言えない?」



先生の声が低く落ちる。



「じゃあ、僕が言うね」

「送れなかったんでしょ……いや」



少しだけ言葉を切って、淡々と続けた。



「『送らなかった』って言う方があってる?」



図星を突かれた衝撃に、言葉ひとつ返せない。
ただ膝を強く握りしめることしかできなかった。


目の前に差し出されていた手がゆっくりと下ろされ、先生は私の前にしゃがみ込んだ。
泥の匂いの中に、先生の匂いが混ざってくる。
いつもなら落ち着くはずのそれが、今は息苦しい。


責められているわけじゃない。
怒鳴られてもいない。
でも――
私の内側にある弱い感情を、一枚残らず剥がして覗き込まれているような圧があった。



「……この下にいる魂に、両親を重ねた?」



そう言って、先生は地面へと視線を落とした。
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