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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第22章 「可惜夜に眠る 中編**」


少なくとも虎杖くんの足は元通りになって、彼は助かるかもしれない。


(……いや、そんなのだめだ)


まず、虎杖くんが絶対に許さないし。
呪いの王の言葉を信じて頼るなんて、あり得ない。
なら、答えはひとつしかない。


泥の中に落ちていた小太刀に、手を伸ばす。
冷たくて重い柄を、震える両手でぎゅっと握りしめた。



「虎杖くんは、ここにいて」

「!?」



虎杖くんの制止の声には振り返らず、立ち上がった。
そして、迫ってくる呪霊へと向き直る。



「こいっ!」



気合いを入れるみたいに叫んで、前へ踏み出した。


(送れば……私が、送ればいいだけ)


そうすれば、この戦いは終わる。
二人とも、助かる。
もう、これ以上虎杖くんを傷つけないで済む。
最悪私が死んでも、時間稼ぎにはなるはず。
その間に、先生たちが気づいて助けに来てくれるかもしれない。
柄を握り直して、刃先を固定した。


(送る。絶対に、送る……っ)


必死にそう自分に言い聞かせて、奥歯を強く噛み締める。



『ギ……ヂ……ァ……ッ!』



巨大な泥の腕が、頭上から叩きつけられた。
空気が割れるみたいな圧。
反射で身体が縮む。



「……っ!」



間一髪で横に飛び退き、そのまま勢いよく泥を蹴って呪霊の懐へと飛び込んだ。
握りしめた呪具の小太刀を、ぶよぶよとした青白い肉体へ向けて力一杯振り抜く。


ザシュッ!


あらかじめ込められている呪力が刃から弾け、分厚い肉を深く裂いた。
どろりとした嫌な感触が手に伝わってくる。
鼻を突く悪臭に、思わず息が止まりそうになる。


(今しかない……っ!)

 
小太刀を逆手に持ち替える。
祈るように意識を集中させて、もう一度掌の奥に“あの温かさ”を探す。


すると、呪霊の周りから花弁がふわりと宙に舞った。


(……!)

 
来た。
このまま送れる。


そう思ったのに。

 
花は花冠にならずに。
ふっと、雪みたいに溶けて消えていった。
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