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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第22章 「可惜夜に眠る 中編**」


私がしっかりしていれば。
迷わなければ。
あの時、送っていれば。


後悔が一気に押し寄せて、頭の中がぐちゃぐちゃになりそうになった――その時。






『ケケケッ。小僧、詰んだな』



ぬちゃり、と。
虎杖くんの右頬に、不気味な口が裂けて現れた。
そして、ひどく機嫌の良さそうな声で嗤う。


(……す、宿儺)


呪いの王。
虎杖くんの中にいる、“もう一人”。
以前から、話には聞いていたけど。
こうして直接見るのは初めてだった。


パァンッ!


突然、虎杖くんが自分の頬を思い切りひっぱたいた。
宿儺の口が潰される。



「痛っ! ……じゃなくて、うるせー!」

「てかお前、この足治せるだろ!」



虎杖くんが自分の頬に向かって怒鳴りつけた。



『断る』



今度は地面をついていた虎杖くんの手の甲に、別の口が浮かび上がった。



『だが、俺に代わるというなら。あの呪霊を祓って……』

『そこの花の匂いのする女の命くらいは助けてやってもいいぞ』



その言葉に、虎杖くんの肩がピクリと動いた。



「本当か……?」

『ああ、約束しよう』



手の甲にあるその口が、三日月のように歪む。
視線なんてないはずなのに、私をねっとりと舐め回しているのがわかった。



『ただし……助けたその女は、俺がじっくり犯して殺すがなぁ。フハハハハッ』



背筋を冷たいものが這い上がった。
先ほどの冷たさとは違う、生物としての根本的な恐怖。



「ふざけんな!! もうお前黙ってろ!」



虎杖くんが激昂して、自分の手の甲をもう片方の手で乱暴に塞ぎ込んだ。
それでも、宿儺の気味の悪い笑い声が、指の隙間から漏れ聞こえてくる。



「……悪い、。こいつの言うこと、聞かなくてていいから」

「わ、私は大丈夫だから。それより――」



そう言いかけた瞬間だった。



『グ……ァ……ヂ……ッ』



背後から、不快な濁音が響いた。
振り返ると、呪霊がゆっくりとこちらに向かって這い進んできている。


(……逃げなきゃ)


でも。
私一人じゃ、足を怪我した虎杖くんを抱えて走ることなんてできない。


(宿儺に、助けてもらう……?)
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