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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第22章 「可惜夜に眠る 中編**」


頭から離れない。
離れてくれない。


手のひらに集まりかけていた温かい感覚が、急速に冷えて消えていく。
どうしても、その先へ進めない。


(ごめんなさい……ごめんなさい)


その言葉は、誰に向けた言葉なのかも分からないまま。
無意識に、一歩後ずさっていた。







「、離れろ!」



突然、虎杖くんの叫び声が聞こえた。


(……え?)


顔を上げた瞬間、視界が黒く塗りつぶされる。
呪霊の巨大な肉塊の一部――赤茶けた泥の塊が、私に向かって真っ直ぐ振り下ろされてきていた。


避けなきゃ。
頭では分かっているのに、身体が動かない。
足が、泥に浸かったみたいに重い。


(やられるっ……!)


その時だった。






ドンッ!


強い衝撃とともに、身体が横に突き飛ばされた。



「うっ……!」



鈍い、肉が潰れるような音と。
虎杖くんの苦しむ声が、すぐ近くで響いた。



「……え?」



跳ね起きるようにして、顔を向ける。
そこには、私を庇うようにして倒れる虎杖くんの姿があった。
肩で荒く息をしている。


彼の右足。
そのふくらはぎを、呪霊の放った瓦礫の塊が深くえぐっていた。
制服のズボンが裂け、赤黒い血がどくどくと泥の中に流れ出している。
泥が、一瞬で濃い赤色に染まっていった。


(……あ)


頭の中が真っ白になる。
手足の先から、血の気が引いていくのがわかった。


虎杖くんは顔を激しく歪めながらも、私の方を振り返って叫んだ。



「! 怪我ねーか!?」

「……虎杖、くん……」



声が震える。
視界が、ぐらぐらと揺れた。
私が怪我をさせた。
私のせいで、仲間が傷ついた。


(どうしよう。どうしよう……っ)


急いで虎杖くんのそばに駆け寄った。
両手で、裂けたズボンの上から傷口を強く押さえる。



「ごめん……ごめんなさい、私……っ」



ドクドクと嫌な脈打ちが手のひらに伝わってくる。
指の隙間から、温かくて赤い血がとめどなく溢れ出していた。
どれだけ体重をかけて圧迫しても、血が止まらない。
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