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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第22章 「可惜夜に眠る 中編**」


「じゃあ……ここに眠る人たちを解放して。生き残った人が、またここに来られるように」

「俺とで助けてやんねーとな」



虎杖くんの目は、真っ直ぐだった。
泥の下で苦しんでいる魂を救って。
残された人たちのために、呪霊から思い出の場所を取り戻したいという、純粋な優しさ。


(生き残った人、か……)


私はあの日からずっと……
現実から逃げ続けて、ずっと帰ることすら避けてきたのに。
そんな私が、ここにいる人たちを助けることなんてできるのかな。
虎杖くんの言葉が優しいほど、私の中の汚い部分が浮き上がってくるみたいだった。



「……うん。そうだね」



無理やり口角を上げて、小さく頷いた。


先生は私たちのやり取りを黙って見ていたが、
組んでいた足を解き、人差し指と中指を立てた。



「――闇より出でて闇より黒く」



低い詠唱が、静かな山間に響く。



「その穢れを禊ぎ祓え」



ズズズ……と重低音が鳴り響き、頭上の空が急速に黒く染まっていく。
青空が、ドロリとした闇に塗りつぶされていく。


太陽の光が遮断され、周囲が一瞬にして夜のような暗闇に包まれた。
結界の内と外が切り離される、独特の閉塞感。
この黒いドームの中はもう、こちらの理が通じない「あちら側」だ。



「じゃ、二人とも。くれぐれも……死なないようにね」



闇を背負った先生が、顎で廃村の奥をしゃくった。


ここから先は、私たちだけ。


(……やるしかない)


震える手で鞄からメガネを取り出し、かける。 
世界が青黒い澱みに覆われた。 
廃村全体が、より一層濃い呪いの霧に包まれているのが見える。



「行こう、」



虎杖くんがポンと肩を叩いた。 
その手の温かさが、少しだけ現実に引き戻してくれる。



「……うん」



腰に小太刀を差す。 
深呼吸をひとつして。


私たちは「帳」の闇の奥へ――
一歩、足を踏み入れた。
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