第22章 「可惜夜に眠る 中編**」
「まったくだわ。……あんたたち、本当に大丈夫なの?」
野薔薇ちゃんが心配そうに眉を寄せる。
けれど、虎杖くんはパン!と両手で自分の頬を叩いた。
「やるしかねーだろ! それに先生だって、無意味なことさせるような人じゃねーしな」
「……まあ、性格はアレだが、そこは信用できるか」
虎杖くんの前向きな言葉に、伏黒くんも少しだけ表情を緩めた。
「、大丈夫か?」
ふいに、虎杖くんがこっちを覗き込んだ。
私が黙ってるのに気づいて、心配してくれたんだと思う。
「……うん。明日、頑張らなきゃね」
「俺が前線で隙を作るから。は安心して、“送る”方に集中すればいいよ」
虎杖くんはそう言うと、ドンと自分の胸を叩いた。
その言葉に、強張っていた肩の力が少しだけ抜ける。
「……虎杖くん」
「連携、大事だろ? 先生も言ってたじゃん」
「俺たち、起爆力のある『爆弾』コンビなんだからさ!」
虎杖くんはニカっと笑い、拳を突き出してきた。
「爆弾って……五条先生が言ってたのは、そういうポジティブな意味じゃねーと思うぞ」
伏黒くんがすかさずツッコミを入れる。
「え、そうなの? ドカーンと一発派手にやれってことじゃねーの?」
「……お前、本当に幸せな脳みそしてるな」
呆れたようにため息をつく伏黒くんと、苦笑いする野薔薇ちゃん。
そのやりとりに、思わず口元が緩んだ。
本来なら恐ろしい「爆弾」を抱えた者同士。
けれど、虎杖くんが言うと、それが不思議と心強い絆のように聞こえた。
「……ありがと」
その声は小さすぎて、虎杖くんには聞こえなかったかもしれないけど。
彼のその真っ直ぐな強さが、今の私には眩しくて。
そして、何より――
ひとりじゃないと思わせてくれる、その感じが。
今いちばん、救いだった。