第22章 「可惜夜に眠る 中編**」
「お、やってる〜?」
軽快な声と共に、ひょっこりと入口から顔を出したのは、先生だった。
手にはコンビニの袋をぶら下げている。
(……っ!)
突然の先生の登場に、心臓が大きく跳ねた。
思わず、ジャージの襟元をぎゅっと握りしめる。
昨夜の記憶がぶり返して、なんとなく先生を直視できない。
「なんですか、その行きつけの飲み屋みたいな言い方」
伏黒くんが呆れたように突っ込んだ。
「GTGから、愛しの生徒たちへ差し入れだよ~」
先生は肩を揺らして笑いながら、テーブルにお菓子を広げた。
「やったー!」
「サンキュー、せんせー!」
みんなでそのお菓子に群がっていると――
「悠仁、」
「爆弾コンビの君たちに、明日の朝イチで、僕がとーっておきの任務を用意しました!」
その先生の言葉に、野薔薇ちゃんと伏黒くんも手を止めてこちらを見る。
(……爆弾コンビ?)
どういう意味だろ?
虎杖くんが目を丸くして声を上げる。
「えっ、明日の朝!? 急だなー」
先生は人差し指を立てて、楽しそうに続けた。
「ここから車で一時間くらいの山奥にある廃村で実践訓練」
「推定等級は……準一級ってとこかな」
「……!?」
準一級なんて。
あの港での呪霊でも、二級だったのに。
それでも、大怪我をして。
なんとか送ることができたレベルだ。
「五条先生」
たまらずといった様子で、伏黒くんが口を挟んだ。
「いくら何でも、虎杖とには荷が重すぎませんか」
呪力のない私と、まだ経験の浅い虎杖くん。
私たちだけで準一級に行く……
頭の中に「死ぬ」という言葉が浮かんで、背中が冷たくなった。
「そうよ! ちょっと、この合宿で死人出す気?」
野薔薇ちゃんもスナック菓子を乱暴に置いて、先生を睨みつけた。
でも、先生は涼しい顔でチッチッと人差し指を振った。
「厳しいから行かせんの。二人には強くなってほしいしね」
それから、ひらひらと手を振って。
「安心して。恵たちにもちゃーんと別の課題用意してあるから」
みんなが何か言い返そうとしているのが分かった。
でも、先生はもう聞く気がないみたいに視線をこちらへ戻す。