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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第22章 「可惜夜に眠る 中編**」


真希さんが、私の目線に合わせてしゃがみ込んだ。



「お前、何がしたい?」

「……」

「何が欲しい? 何を叶えたい?」



その気迫に圧倒されて、後ずさりしそうになる。



「なんの目的もなくやってけるほど……」

「呪術高専は甘くねえぞ」



真希さんの言葉は冷たく、それでいて痛いほど正しかった。
唇を噛み締め、俯くことしかできない。



「おーい、真希! ! 飯だぞー!」



張り詰めた空気を破るように、のんびりした声が響いてきた。
演習場の入り口で、パンダ先輩たちが手を振っているのが見える。



「……もうそんな時間か」



真希さんは、パンダ先輩の方へ声を張り上げた。



「おう、すぐ行く!」



短く返事をしてから、真希さんは再び視線をこっちに落とした。



「おい、いつまで座ってんだ。置いてくぞ」

「あ……」

「……」



真希さんの声が、少しだけ低くなった。



「術師としてやっていきたいなら……迷ってる暇なんて、ねぇんだよ」

「腹くくれ。……じゃねぇと、守りたいもんも守れねぇぞ」



真希さんはそれだけ言い残すと、パンダ先輩の方へと歩き出していく。
遠ざかっていくその背中は、
私とは違って、強くて、真っ直ぐで。
迷いなんて感じられない。


(……守りたいもの)


無意識のうちに、首筋へと手が伸びていた。
昨夜、先生が何度も強く歯を立てた場所。
そっと触れると、治してもらったはずなのに。
まだ、じんとした熱を帯びている気がした。


(どうすれば、いいの……?)


――分からない。

 
でも。
その“分からなさ”の真ん中に、先生がいる気がした。



「……せんせい」
 


ずっと心の奥底に封じ込めてきたものが、せり上がってくる。


(これは、私の問題なんだから。言ったら、だめ……)


許されないと分かっているのに、止められなかった。







「……たすけ、て……」



こぼれたその言葉は、誰もいない演習場に消えていく。
瞬きをした拍子に、涙が一粒、竹刀を握る手の甲に落ちた。
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