第22章 「可惜夜に眠る 中編**」
「お前、どこかで諦めてるだろ」
「……え?」
心臓が、ドクンと嫌な音を立てた。
「あ、諦めてるって……そんなこと……」
真希さんは一歩、私に近づいた。
「必死に振ってるように見えて、最後の一線で踏み込んでねぇ。守りに入ってるようで、自分の身を守ることに執着してねぇ」
「……っ」
否定したいのに、言葉が出なかった。
「お前、なんで呪術高専に入ったんだ?」
「……え?」
唐突な質問に、思わず目を瞬かせた。
(なんで、って……)
入った理由。
そんなの、決まってる。
まだ震える掌を見つめながら、続けた。
「それは……この『魔導』という力を解明するため、です。だから……」
「で? 解明されたら?」
真希さんの声が、私の言葉を遮った。
「その力が何なのか分かったとして。……その後は?」
「その後、は……」
言葉が喉の奥で詰まった。
(その後……?)
力が解明されたら。
制御できるようになったら……
(先生と同じ、術師として――)
誰かを守りたい。
強くなりたい。
そう思うのに……
なぜか、後ろから誰かに引かれるみたいに続きが出てこない。
真希さんは大きくため息をつき、竹刀の切っ先を地面に向けた。
「そんな半端な覚悟じゃ、お前死ぬぞ」
「……っ」
「バレーの時も、野薔薇庇って怪我したよな」
「優しさのつもりか? “自分は何かあってもいい”って。でも、違うだろ」
真希さんが、鋭い視線で私を射抜く。
「“自分だけ無事でいるのが怖い”んだろ」
その言葉を聞いた瞬間、頭を思い切り殴られたみたいだった。
息の仕方がわからなくなる。
気づけば、竹刀の柄がきしむくらい強く握っていた。