第22章 「可惜夜に眠る 中編**」
「甘えんな。常に実戦のつもりでやれ」
「罰(いたみ)があるのとないのとじゃ、成長速度がダンチなんだよ」
スパッと言い切るその姿に、ぐうの音も出ない。
(……確かに、真希さんの言う通りだな)
痛みを伴うからこそ、身体が必死に覚えようとする。
じんじんと痛む手首と頭をさすりながら、小さく息を吐いた。
でも、この痛みのおかげで。
モヤモヤした気持ちも。
罪悪感も。
上書きされていく気がした。
汗を拭って、震える手で竹刀を握り直す。
「……もう一回、お願いします!」
私の言葉に、真希さんは目を細めた。
「次はもっと速くいくぞ。食らいついてこい!」
鋭い呼気と共に、真希さんが一気に踏み込んできた。
竹刀が振り上げられる。
速い。
(ま、間に合わない……っ!!)
避けることも、受けることもできない。
(……っ!)
ヒュッと風を切る音が、鼓膜を震わせる。
思わずぎゅっと目を閉じ、衝撃に備えて身を縮こませた。
「……?」
けれど――いつまで経っても、痛みはやってこない。
恐る恐る目を開けると、
「……っ!」
鼻先わずか数センチのところに、竹刀の切っ先がピタリと止まっていた。
遅れて、力が抜ける。
そのまま、崩れるように座り込んだ。
見上げると、真希さんは息ひとつ乱していない。
「ま、真希さん、すごいですね……っ」
「私、手も足も……出なかったです」
真希さんの圧倒的な強さに、ただ笑うしかなかった。
情けない笑い声が、自分でも掠れているのが分かる。
真希さんは竹刀を下ろすと、じっと私を見下ろした。
「……なぁ、」
「は、はい」
「手合わせしてて、思ったんだけど」