• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第22章 「可惜夜に眠る 中編**」


「二人の間に何があったかは知らないけど……一人で抱え込むなよ」

「どうせ理解なんてしてもらえないって……勝手に拗らせて」



硝子さんの声が、ふっと低くなる。
その視線は私の首筋に向けられているはずなのに、どこか遠い過去を見ているようだった。



「……取り返しがつかなくなった奴が昔いたからな」



その言葉の重みに、私は息をのんだ。


(……夏油さんの、ことなのかな)


硝子さんの瞳の奥に、言葉にできない寂しさが揺れている気がして、何も聞けなくなる。
しばらくして、首筋からふっと温かい手が離れた。



「はい、おしまい」



硝子さんが、小さな手鏡を渡してくれた。
それをを覗き込むと――



「……あ」



あれだけ赤黒く広がっていた痕が、今はうっすらとした桜色に変わっている。
よく見れば残っているけれど、遠目にはほとんど分からない。



「私の術式でも、今はこれが限界」

「ま、よーく見ればわかるけど……パッと見は大丈夫だろ」

「……ありがとうございます、硝子さん」

「礼には及ばないよ。……その代わり」



硝子さんは立ち上がり、白衣のポケットに手を突っ込んだ。



「五条には、あとでたっぷり請求書回しとくから」



ニヤリと笑うその顔に、少しだけ救われる。


頭を下げて部屋を出ようとしたとき、背中越しに呼び止められた。



「」



振り返ると、カチッ、とライターに火がつく音が鳴る。
硝子さんは咥えたタバコに火をつけながら、ふっと口角を上げていた。



「五条は、が思ってる以上に……お前に惚れてるよ」

「え……」

「もう少し、信用してやれ」



硝子さんはそれだけ言うと、ひらりと手を振って私を追い払った。
/ 687ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp