第22章 「可惜夜に眠る 中編**」
「……っ」
肌の奥で、静電気が走ったみたいにピリッて弾けた。
私の中にある『力』が、硝子さんの呪力を勝手に弾こうとしている。
「……相変わらず、通りが悪いな」
硝子さんが、少しだけ目元を険しくした。
「すみません……」
「が謝ることじゃないって。……ほら、力抜いて」
(……申し訳ない)
硝子さんの温かい手が、何度も同じところを撫でてくれる。
じわじわと、焦れったいくらいゆっくり熱が染み込んでいって。
ヒリヒリしていた痕が少しずつ消えていく感覚がした。
「……一応聞くけど。あいつ、避妊はしたよな?」
「っ……!」
硝子さん!? 直球すぎる……っ
こ、この質問は医者として聞いてるんだよね?
「は、はい……! それは……ちゃんと……」
「……そうか。そこは、まだ理性があったか」
硝子さんはふぅと短く息を吐いた。
「まあ、五条があそこまで余裕なくすなんて、珍しいけどな」
治療を続けながら、硝子さんがぽつりと漏らした。
「あいつ、基本的にはスマートぶるだろ。上層部にはあれだけど、学生には理性きかせてるし」
硝子さんの指先が、鎖骨のあたりでピタリと止まる。
そこは、一番痕が濃いところ。
昨日の夜、先生が何度も何度も、強く歯を立てた場所だ。
「それが、こんな……が治りにくい体だって分かってて、派手に噛み付いて」
「……五条と、なんかあったのか?」
その言葉に、思わず視線を落とした。
首元に触れる温かい手が、私の中の『罪悪感』をじわじわと引きずり出してくるみたいで。
「私が……悪いんです」
膝の上で、ギュッと手を握りしめる。
「全部……私のせいで」
先生が差し出した手を、掴み返せなかった私。
過去に囚われて、先生を一人にしてしまった私。
だから、あんなに乱暴にされても、これは私が招いた結果で……
はぁ、と。
硝子さんが深く息を吐き出して、静かに口を開いた。