第22章 「可惜夜に眠る 中編**」
「あ、っ……! いた……っ」
痛みに思わず、先生の胸元を両手で押し返した。
けれど、先生は微動だにしない。
むしろその手に自ら重みをかけるように、さらに密着してきた。
「せ、んせい……待っ、て……っ」
先生は、その反応を楽しむように目を細めた。
そして、反対の手で私の両手首をつかみ上げる。
強引に頭上のシーツに押しつけられて、身体の自由を奪われた。
「……いい眺め」
そう呟くと、先生は私の首筋に顔を埋めた。
「っーー!?」
一瞬、何が起きたのかわからなかった。
皮膚を吸い上げられる感覚と、じんと広がる痛み。
噛みつくみたいな口付けに、思わず背中が跳ねる。
「……や、……っ」
慌てて身体をよじって、必死に先生の唇から逃れようとした。
明日もみんなと会うのに。
こんな目立つ場所に痕なんてつけられたら、隠しきれない。
「あっ……やだ、痕、つけちゃだめ……っ!」
「うるさい」
先生は吐き捨てるように言うと、
体重をかけて、さらに強くベッドに身体を押し付けた。
「……っ」
鎖骨のあたりに、先生の歯が当たる感触。
次の瞬間。
じゅっと吸い上げられて、遅れて痛みが追いかけてきた。
静かな部屋に、皮膚を吸う音が響き渡る。
喉元。
鎖骨。
服の隙間から覗く、胸の上。
目立つ場所に次々と、唇が押し当てられる。
「あ……っ、んぅ……っ」
ジリジリとした熱と痛みが、首筋に広がっていく。
首元に顔を埋められるたび、
先生の白い髪が、呼吸に合わせて私の頬や唇の端をかすめた。
跡がつけられるたび、視界がにじむ。
きしむベッドの音と、どこか遠くの波の音だけが聞こえた。
重たい腕の感覚に押さえ込まれたまま、身じろぎもできず。
私はただ、天井を見上げていた。
淡い照明の光に照らされて、私と先生の影が天井にぼんやりと映っている。
その模様が、海の底で波に揺らぐ光みたいに思えた。