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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第22章 「可惜夜に眠る 中編**」


(ずっと、平気だったのに)

 
心の中に、小さな波紋が広がっていく。
どこかがひりついて、疼いている。

 
(気仙沼に行ってから、私……)

(なんか、おかしい)

 
ずっと蓋をしてたはずのものが、じわじわと溢れてくる。
もう、うまく蓋ができない。


(……だいじょうぶ)

(だいじょうぶ。……だいじょうぶだから)


いつもみたいに、そう言い聞かせる。


なのに――

胸の奥がざわついたままなのは、どうしてなんだろう。


お父さんとお母さんが、
ずっと見て見ぬふりをしてきた私を、
どこかで責めているのかもしれない。


もし、あの時。
もっと強く手を引いていたら。
もっと早く気づけていたら。


私が――

 
(……やめて)


考えちゃ、だめ。


深呼吸をする。
けど、どうしても潮の匂いが混ざってうまく息ができない。


気づけば、先生を探していた。
白い髪。
サングラス。
どんな状況でも、全部ひっくり返してしまいそうな、あの余裕。
何が起きても、「大丈夫」と言い切ってくれる声。


先生⋯⋯





(……あれ?)


さっきまで中心で騒いでいたはずの、先生がいない。



「真希さん、先生は?」

「悟か? さっき部屋に戻るって言ってな」

「え……」

「うるさいやついなくて、ちょうどいいだろ。ほっとけほっとけ」



真希さんは興味なさそうにそう言って、また肉を焼き始めた。


(部屋に戻ったてことは……仕事かも)


そう思おうとした。
けど……さっきの、ビーチでの先生の顔。
サングラスをかけ直した仕草。
何もなかったみたいに笑った横顔が、頭から離れない。


気づいたら、私は紙皿をそっとテーブルに置いていた。

 

「……私、ちょっとトイレ」

 

そう言って席を立ち、みんなの楽しげな声を背中に残して歩き出す。
先生がいるはずの部屋へ向かった。
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