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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第22章 「可惜夜に眠る 中編**」


「おっ、これが持ってきた牛タン?」

「あ、うん。幼馴染がお土産でくれたんだ。せっかくだから、みんなで食べようと思って」

「じゃ、遠慮なく焼こうぜ〜」



そう言ってパンダ先輩が網の上に、スライスされた牛タンを並べていく。
ジュウウウッ、といい音がして、脂が炭に落ちて煙が上がった。



「いただきまーす!」

「うまっ!」

「ツナ、ツナ」



みんながこうして美味しそうに食べてくれていると、なんだか嬉しくなる。



「……あれ、全然食べてないじゃん?」



パンダ先輩が私の皿をちらりと見て、そう言った。



「ほら、これ。おまえの分」



そう言って、焼きたての牛タンを数切れ、私の皿にのせてくれる。



「ここにあるもん、どうせ悟の奢りなんだから。遠慮すんな」



真希さんがグラスを片手に、そう言って笑った。



「しゃけ、しゃけ」



狗巻先輩も小さく頷いた。



「あ、ありがとうございます……」



私もひと切れ口に運ぶ。
サクッとした歯応えと、溢れ出す肉汁。
懐かしい味が口いっぱいに広がる。


(……おいしい)


仙台に遊びに行くたび、家族でよく食べた。
駅の近くにある、お父さんの行きつけのお店。
麦ご飯がおかわり自由で。
つい調子に乗って、何杯もおかわりしては、お母さんに呆れられてた。



『は本当に、牛タン好きだなあ』

『こーら、ゆっくり食べなさい。牛タンは逃げないから』



笑いながら言うお父さん。
困った顔でお茶を注いでくれるお母さん。
煙の向こうに、その光景が浮かぶ。


でも突然。
その笑い声が、ふっと遠ざかる。


(……あれ)

 
さっきまで温かかったはずの記憶が、どこかにじんで見える。
煙が濃くなったような気がして。
耳の奥で、遠くの波がざわざわと揺れた。


(……なんで)
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