第22章 「可惜夜に眠る 中編**」
シャワーを浴びて汗や海水を流すと、ようやく身体が落ち着いた気がした。
ワンピースに着替えて、みんなと一緒に別荘のテラスへ出る。
別荘のウッドデッキは、ちょうど夕陽に照らされていた。
海に沈みかける光が、ゆっくりと波を染めていく。
足元の板張りにはオレンジ色の光が差し込み、炭火の匂いが風に混じって鼻をくすぐった。
(……きれい)
潮風と夕陽と、どこか異国みたいな香り。
一瞬だけ、全部を忘れそうになる――
「うおおおお!! すげえええ!!」
「ちょっと何この肉の厚み!?」
いきなり響いた叫び声に、肩がビクッと跳ねた。
波打ち際から戻ってきた虎杖くんと野薔薇ちゃんが、テーブルに並べられた霜降りの肉に目を輝かせている。
先生が言っていた通り、豪華な食材が準備されていた。
炭火がパチパチと鳴り、執事さんが丁寧に火加減を調整している。
「さ、ジャンジャン焼いてジャンジャン食べてね! お代わりもあるから!」
先生が高級ジュースを片手に乾杯の音頭を取り、バーベキューが始まった。
炭火で肉が焼ける香ばしい匂いと、みんなの笑い声が弾ける。
「、こっちこっち! 写真撮るわよ!」
「あ、うん!」
野薔薇ちゃんに急に呼ばれて、みんなの輪の中に入る。
虎杖くんが自撮り棒を構えて、全員が画角に収まった。
「はい、チーズ!」
カシャッ、とシャッター音が鳴る。
画面の中の私は、野薔薇ちゃんと真希さんに挟まれて、ピースをして笑っていた。
楽しい。
みんなといると、本当にそう思える。
でも――
「これでいいのかな」って、どこかで思ってしまう自分もいる。