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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第21章 「可惜夜に眠る 前編**」


視線を落とすと、
私の手の上に、先生の手が重なっていた。


そのまま、指がゆっくりと絡められていく。
そして、手をぎゅっと握られた。
強く。でも、どこか確かめるように。

 

「……っ」

 

声が出そうになって、慌てて口をつぐむ。 


(……先生……)


先生はシートに深く体を預けたまま、動かない。
言葉も、視線もないのに。
その体温だけが、確かに伝わってきた。
繋がれた手のひらのあたたかさが、胸の奥に染み込んでいく。
「大丈夫だよ」って、言われてる気がして。


(……あったかい……)


なんだか泣きそうになって、慌てて窓の外に視線を逸らす。
夏の光が、ガラス越しにきらきら揺れていた。


バスの中は、相変わらずにぎやかで。
野薔薇ちゃんの笑い声、虎杖くんの叫び声が飛び交ってる。


でも――
後ろの席からは見えない、この前の席だけは。
私と先生だけの、小さな秘密だった。
 

少しだけ力を込めて先生の手を握り返す。
先生の指も、ほんの少しだけ応えるように動いた。


(……このまま、どこにも着かなければいいのに) 


私たちは、到着するまで一度も手を離さなかった。
















「はーい、到着〜!」



バスの停車と共に、先生の明るい声が響いた。
その瞬間、絡められていた指が、するりと解かれていく。


(……あ)


私は名残惜しさを隠すように、空っぽになった左手をぎゅっと握りしめた。
まだそこに、先生の温もりが残っている気がして。



ドアが開く音と共に、野薔薇ちゃんが一番に飛び出した。

 

「つっいーたー!! さあ、私の夏が始まるわよ!」

「うおお! 海! プール! バーベキュー!」

 

虎杖くんがビーチボールを掲げて、テンションMAXで続いた。

 
(……五条家の、別荘……)

 
京都のご実家もすごかったから、別荘もすごいんだろうな。
お城みたいだったりして。


そんなことを考えながら、私もみんなに続いてバスを降りると――

 

「…………は?」

 

野薔薇ちゃんの、低くて震える声が響いた。
視界に飛び込んできたのは、お城でも、洋館でもなかった。

 

そこにあったのは――
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