第21章 「可惜夜に眠る 前編**」
校舎の奥から現れたのは、三人の人物。
一番に目に入ったのは、ポニーテールにメガネの女性。
長身でスラッとしていて、動きに無駄がない。
でも、鋭い目元がちょっと怖い……。
あの人が、真希さんかな?
その隣には、銀髪の男の人。
ネックウォーマーで口元を隠していて、顔はあまり見えない。
でも、目だけがじっとこちらを見ていた。
そして――
「……パンダ?」
思わず、声に出してしまった。
白と黒のモフモフした、ぬいぐるみみたいな……いや、明らかにパンダの姿をした存在が、こちらに向かって二足歩行で歩いてくる。
両手(前足?)を振って、すごく自然に。
「おーい、1年、交流会以来だな〜」
「パンダ先輩。久しぶりっす」
虎杖くんはパンダと自然に会話している。
(パンダが……歩いてる……しかも喋ってる……!?)
(……呪術高専って、そういう感じ……?)
あまりの現実離れした光景に、思考が停止しかけた。
「何だよ、あのバカ……まだ来てないのかよ」
ポニーテールの女性が、苛立ちを隠さずに言い捨てた。
「五条先生が時間通りに来るわけないじゃないですか」
伏黒くんが淡々と返すと、女性はチッと舌打ちする。
それと同時に、鋭い視線が私に向けられた。
銀髪の先輩の視線も。
そしてパンダのつぶらな瞳まで、こちらを向いていた。
一斉に注がれる“目線”に、思わず背筋が伸びた。
(ひぇっ……あ、挨拶しなきゃ)
ポニーテールの女性が腕を組んだまま、じろりと私を見やる。
その目は、好奇心とも懐疑ともつかない、鋭い観察眼。
「お前が、噂の“魔導を使う”っていう一年か」
「ふーん……なんかもっと、すごいオーラでも出てるのかと思ったけど」
その隣で、パンダがのんびりとした声で言葉を続けた。
「案外フツーだな〜。もっとこう、魔法の杖とか持ってんのかと思った。帽子とかローブとかさ〜」
それ、完全に魔法使いのテンプレ……