第21章 「可惜夜に眠る 前編**」
野薔薇ちゃんは、あたりをきょろきょろ見回す。
「真希さんたちもまだ来てないわね」
真希さん……今回は、二年生も一緒なんだっけ。
(あ、そういえば……)
「私、先輩たちと会うの、今日が初めてかも」
そう言うと、三人が「え?」と揃って私を見た。
「そうだっけ?」
虎杖くんが首を傾げた。
「うん。今までの任務、ほとんど先生が同行してくれてたし……。上級生と一緒になる機会なくて」
私がそう答えると、虎杖くんが「あー」と声を上げて手を打った。
「そっか。、大怪我でしばらく入院してたし。この前の交流会も、参加してなかったよな」
「うん……参加したかったな」
私がぽつりと呟くと、伏黒くんがぼそっと口を開いた。
「……五条先生の無茶振りで、野球だったけどな」
「野球……?」
あまりにも意外な単語に、私は思わず首をかしげる。
あれ? 交流会って、呪術合戦って聞いたような……
「しかも、呪術禁止の“ふっつーの”野球」
野薔薇ちゃんが、腕を組みながら続ける。
「ま、もちろん東京校の勝ちだったけどね」
自慢げに言う野薔薇ちゃんの隣で、虎杖くんがうんうんと嬉しそうに頷いた。
そんな話をしていたときだった。
「おーい! 一年〜!」
校舎の奥の方から、明るい声が飛んできた。
「!」
私たちは一斉にそちらを振り返る。
夏の光を背にして、数人の影が近づいてきた。