第21章 「可惜夜に眠る 前編**」
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「……暑い……」
朝は始まったばかりなのに、もう日差しが強い。
少し歩いただけで、汗がじわっとにじんでくる。
制服のシャツの袖を少しだけまくって、タオルで額の汗をぬぐった。
(今日から合宿……)
肩にかけた旅行カバンはずっしり重い。
中には、昨日野薔薇ちゃんと買った水着も入ってる。
(でも、合宿って言っても訓練中心だろうし。遊ぶ時間なんて、あるのかな……)
集合場所の正門に近づくと、すでに虎杖くんたちがいた。
「おはよー」
声をかけると、三人が振り返る。
「おっ、! おはよー!」
虎杖くんがぱっと笑って、大きく手を振った。
けど、その手には、なぜかカラフルなビーチボール。
「……それ、持っていくの?」
「もちろん! ビーチバレー、みんなでやろーぜ!」
眩しいくらい、元気だ。
いいなぁ、その元気、少しわけてほしいかも……
すると、野薔薇ちゃんがすかさず突っ込んだ。
「アンタさ……何しに行く気なのよ」
でも、その野薔薇ちゃんの肩には、しっかり浮き輪が抱えられている。
(人のこと言えないような……)
伏黒くんが、あきれたような顔で言った。
「五条先生が企画した合宿だぞ? まともなはずがない」
「……確かに。なにか起こりそうだね」
私がそう言うと、虎杖くんがビーチボールをぽん、と軽く弾ませた。
「つーかさ、企画した五条先生、まだ来てないの?」
「どうせ遅刻でしょ。いつものやつ」
「……だろうな」
伏黒くんも、もう諦めたみたいに言った。