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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第20章 「君の心をさらったその日から**」


ぐらり、と地面が揺れた。
停まっていた車のガラスがカタカタと音を立て、近くの電柱が細かく軋む。


数秒後、揺れは止んだが、街全体がその余韻にざわつき始める。
 


「やだー、地震?」

「津波、大丈夫か?」

 

ざわめきが広がる中、スピーカーにノイズが走る音が響き渡った。

 

《……ただいまの地震による、津波の心配はありません。繰り返します――ただいまの地震による、津波の心配はありません》


 
沿岸部に設置された防災無線が、一斉にその警告を流す。
その音が、まるで押し寄せる波のように町を包み込んでいた。


誰かが「良かった」と小さく呟いた。
緊張でこわばっていた空気が、少しずつほどけていく。
さっきまで立ち止まっていた人々も、再び歩き出しはじめた。



「、心配ないって」

 

声をかけたが、返事はない。
振り返ると、そこには呆然と立ち尽くすの姿があった。



「……?」

 

もう一度呼んでも、返事はない。
視線は、真っ直ぐに“海”を見たままだった。
整えられた防潮堤の向こう。
穏やかに波打つだけの水面。


やがて――
その目から、涙が一筋だけ、静かに頬を伝い落ちた。



「……ぁ……ごめ、なさ……」



はその場にしゃがみ込んだ。
両手で口元を押さえたまま、涙が次々こぼれていく。
嗚咽は音にならず、肩だけが小さく揺れていた。

 
(ここはただでさえ、海が近いし……)


怖くて当然だ。
は前にも、揺れただけで顔色を変えたことがあった。
 


「怖かったね、大丈夫だから」



僕はに近づいて、手を伸ばした。
深く聞くのは、あとでいい。
今はその震える肩を抱きしめて、僕がここにいると伝えたくて。
の腕に指がかかる――その直前。
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