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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第20章 「君の心をさらったその日から**」


の実家があるところだ。
いや、正確には“あった”って言い方か。
あの日、海にさらわれた場所。


(……行けば、何か分かるかもしれない)

 
が言わないこと。
笑って誤魔化す顔の裏に、閉じ込めてるもの。 

知りたい。

言葉じゃなくてもいい。
表情でも、目線でも、なんでも。
の“過去”が、どんな形をしてるのかだけでも。



「わかった。いいよ」

 

僕が了承すると、伊地知がほっとしたように息を吐く。

 

「ではこのまま、東京駅に向かいます」 

「も一緒に連れていく」 

「えっ」

 

伊地知の声が裏返った。

 

「い、いえ……ですが、現場は一級、それ以上の可能性も――」

「大丈夫だよ、僕がいるんだし」

 

被せるように言って、隣へ視線を流す。

 

「も勉強になる……それに、の力で試したいこともあるしね」

 

笑って言ったけど、笑ってない。
伊地知にも、それが伝わったんだろう。

 

「……五条さん」

 

伊地知が何か言いかけて、飲み込んだ。

 

「。今日、任務なかったでしょ」 

「……え、あ……でも……」

「行けない理由でもあるの?」



僕がそう訊いた瞬間、の顔から血の気が引いたように見えた。
拒否したいのに、拒否できない――その迷いが、そのまま目に出てる。


(言えばいいのに。“行きたくない”って)


でも彼女は、いつもそうだ。
困らせないように。弱く見せないように。


は膝の上で指をきつく握り込んで、爪が白くなっている。
だが、僕の目を見て答えた。



「……いえ。行きます」

「じゃ、決まり」

 

僕がそう言うと、伊地知が観念したように息を吐いた。

 

「……わかりました。では、二人分のチケットを用意します」

 

車は再び動き出し、東京駅へ向かって走り出した。
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