• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第20章 「君の心をさらったその日から**」


があいつと並んで、廊下の奥の部屋に入っていった光景が、頭から離れない。

 
(あー……なんでこんな気持ちになってんの、僕)


視線をまた隣へ戻すと、は膝の上でスマホをいじっていた。

 
ほんの一瞬、画面が視界に入る。

 
『涼介お兄ちゃん』

 
その名前に、舌打ちしたくなった。
自分で自分が面倒くさい。
こんな僕を傑がみたら、間違いなく笑うだろう。


(……だっさ)


こんなの、普通のことでしょ。
幼馴染なんだから。
あいつに、お礼のメッセージでも送ってるんだろう。
「牛タンありがとう」とか、「久しぶりに会えて嬉しかった」とか。

 
でも。

 
あいつの名前が画面に出てるだけで、
僕の知らないが、また戻ってくる。

 
あいつと昔話してた顔。
並んで歩いてた背中。
手を振りほどいて逃げたときの「ごめんなさい」。
僕が両親の話をしかけたときの、あの顔。

 
(そういうの全部、まとめて――気に食わない)

 
無意識に小さく舌打ちが漏れた。


がそれに気づいたのか、手を止めて顔を上げた。

 

「……先生?」

 

いつもの、あの困ったような……でもどこか気遣うような目。


僕はサングラスを外して、伊地知に呼びかけた。



「――伊地知」

「は、はいっ!?」

 

急に名前を呼ばれた伊地知はびくっとして、慌ててミラー越しにこちらを見る。



「音楽でも、ラジオでもいい。なんかつけて」

「……え?」

「あと、今から絶対にこっち見るなよ。前だけ見てろ」

「……あっ、はい……!」
 


伊地知が慌てて手を伸ばして、カーオーディオをつけた。



『――続いて、都内の交通情報です。首都高は――』



車内にラジオが流れると、僕は隣にいるの腕を掴んだ。
/ 567ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp