• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第20章 「君の心をさらったその日から**」


***


翌朝。

カーテン越しに射し込む光で、自然と目が覚めた。
まだ強すぎない、やわらかい朝の色。

 
階下から、包丁のトントンという音が聞こえた。
味噌汁の香りが、鼻先をくすぐる。

 
階段を下りてキッチンに行くと、が立っていた。
エプロン姿で、少し真剣な顔。
フライパンの前で卵焼きを返している。

 

「おはよ、」

 

声をかけると、
は振り返って、笑顔で答えた。

 

「あっ……先生、おはようございます」

「先生も、朝ごはん食べていってください」



テーブルにはすでに、三人分の茶碗と箸。
ご飯茶椀に盛られた白いご飯から、ゆっくり湯気が立っている。

 
ほどなくして、おばあちゃんも姿を現した。

 

「おはよ〜。あら、先生も早いねぇ」



そう言いながら、おばあちゃんは伸びをひとつして、テーブルの椅子に腰を下ろした。

 

「いやぁ、昨日はちょっと飲みすぎちゃったわ〜」

 

額を軽く押さえて、苦笑いするおばあちゃん。
が卵焼きを皿に移しながら、少しむっとした声を出す。
 


「もう! だから言ったじゃん」

「だって久しぶりに楽しくて。先生もいたし?」

「先生は関係ないでしょ。いっつもそうなんだから」

 

は小さくため息をついてから、味噌汁をよそい始めた。
その手際の良さに、つい見入ってしまう。
きっと高専に来るまでは毎朝こうして、朝ごはんを用意してたんだろう。


テーブルに並んだのは、卵焼き、味噌汁、炊きたてのご飯。
漬物と、鮭の塩焼き。
そして、食後のデザートの桃。


の家の朝ごはん。
そこに、当たり前のように自分の席が用意されている。


(……昨日、僕は何を焦ってたんだろ)

 
「家族になっちゃおうかな」なんて、口にして。
……別に、急ぐ必要ない。
が笑って、たまに困って、たまに怒って。
そうやって少しずつ、僕のいる場所を広げてくれれば――
それで、十分だろ。

 

「いただきます」

 

箸を取って、まず卵焼きに手を伸ばす。
一口食べた瞬間、思わず声が出た。

 

「うまっ! 、料理うまいねー」

 

素直な感想だった。
/ 567ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp