• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第20章 「君の心をさらったその日から**」


は少しだけ唇を噛んで、こっちを見た。

 

「……ごめんね、先生」

「謝んなくていいって」

 

口ではそう言いながら、ほんとは謝られたほうが余計に困る。
 


「あ……お水ください」

「うん……」

 

持っていたペットボトルを差し出すと、は受け取って飲み始めた。
喉が動くのを、なんとなく目で追ってしまう。

  
(両親の話を聞こうとしたときも、今も)


どこかで、同じ感覚がした。
線を引かれたみたいな――
それ以上は、踏み込ませない距離。
おそらく、これがが一人で抱えている場所。

 
最初は、無理に立ち入るつもりはなかった。
でも、君のことを知れば知るほど――

もっと心を開いてほしいなんて。


心の全部なんて欲張りすぎだろ。
所詮は他人だ。
の悲しみや苦しみを知ったからって、全てを理解できるわけじゃない。


わかってる。

なのに。
 

(……なんで、こんなにモヤっとするんだろ)
 

はもう一口水を飲んでから、ペットボトルを膝の上に置いた。

 

「……先生も飲みますか?」



そう言って、小さく笑いながらペットボトルを差し出してくる。
その笑顔はいつも通りで、何も隠しているようには見えない。



「ありがと」

 

受け取りながら、おばあちゃんの言葉がよみがえった。

 

『あの子ね、ずっと思ってるのよ。両親が死んだのは、自分のせいだって』

 

その言葉が、静かに心に沈んでいく。


気づいたら、の頬に触れていた。
ほてった肌に、僕の冷えた指がじわっと馴染んでいく。
 


「ひゃ……っ、先生、くすぐった……」

 

が身を竦めて、笑いながら首をすくめる。
それでも僕は、優しく撫でるように指を滑らせた。

 
見せてよ。
聞かせてよ。
教えてよ。


君が一人で抱えてきた時間も、
一人で泣いた夜も、
誰にも言えない思いも。

 
全部、僕の手の中に落ちてきてほしい。

 

そうしたら――

 

君が抱えてる悲しみや苦しみから、

 

僕がをさらってあげられるのに。
/ 567ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp