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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第20章 「君の心をさらったその日から**」


「ひとつはね……死んだ人のことだけを、朝から晩まで考えること。 起きてから寝るまで、ずーっとその人のことを思い続けるのよ」

「もうひとつは、仕事でも勉強でもなんでもいいから、打ち込むの。死んだ人のことは……一切、考えないようにね」

「……ずいぶん、極端だね」



思わずそう言うと、おばあちゃんはふっと笑った。



「私はどっちもやったのよ」

 

少し間を置いて、ぽつりと続ける。

 

「が生まれる前なんだけど……主人が、早くに亡くなってさ」

「最初はもう、一日中泣いてた。 朝起きても、夜になっても、何してても悲しくて」

「おばあちゃんが?」

「ふふ。私だって、そんなしおらしい一面もあったのよ」

 

グラスの縁をなぞりながら、声を少し落とす。

 

「でもね、そのうち疲れちゃって。 今度は、必死に考えないようにした」

「そうしたら……死んだ人を置いて、自分だけ前に進んでる気がして。 申し訳ないな、って思っちゃってね」

「じゃあ、どっちもつらいじゃない」

 

僕の言葉に、おばあちゃんは小さく肩をすくめた。

 

「そうなのよ。どっちもしんどかった」

 

それから、少し考えるように視線を落とす。

 

「ただね……途中で、ふと思ったの。 あの人なら、私にどうしてほしいかな、って」

「泣いてばっかの私を見たら、たぶん嫌がっただろうな、って」

 

おばあちゃんはグラスを置いて、静かに言った。

 

「どっちを決めるかは、亡くなった人なのよ――その人が生きてる私たちに、どう生きてほしいか」

「私はそれを想像しながら、生きることにしたの」

「その後、が生まれてね。 だから、亡くなった主人の分も、を目一杯可愛がろうって決めたの」

「でも、可愛がりすぎて、つい怒らせちゃうのよねぇ」
 


そう言って笑うおばあちゃんを見ながら、僕も一緒に笑う。
でも、頭の中にはあいつの顔が思い浮かんだ。


傑は僕にどっちを望んだんだろう。
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