第20章 「君の心をさらったその日から**」
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は目を閉じたまま、額にうっすらと汗を滲ませている。
あのあと、軽くシャワーを浴びて……
を二階の自室のベッドに寝かせたところだった。
僕はその傍らにしゃがみこみ、前髪を優しく指で梳いた。
彼女の頬に、軽く風を送るように手を振る。
「もっと水、飲む?」
問いかけると、はゆっくりと瞼を開け、こくりと頷いた。
「……すみません」
「ん。ちょっと待ってて」
そう返して、僕は立ち上がる。
階段を下りてキッチンに向かい、冷蔵庫からペットボトルの水を一本取り出した。
いや、また無理させちゃったな。
我ながら、のことになると本当に加減がきかない。
でも、が可愛いから仕方ないか。
そんなことを考えながら部屋に戻ろうとした時――
リビングの方から光が漏れているのに気がついた。
近づくと、のおばあちゃんがひとり腰掛けていた。
肘をつきながら、手元には酒瓶とグラス。
そして、ノートにペンを走らせている。
おばあちゃんが僕に気づいて、顔を上げた。
「――あれ? 先生、起きたんだ?」
頬がうっすら赤い。
ほんのり酔っているらしい。
「悪かったねぇ。でも、先生の倒れっぷりは見事だったよ」
「あは、なんかお騒がせしちゃって」
僕が苦笑いで返すと、おばあちゃんはふと思い出したように口を開いた。
「は?」
「あー……ちょっと風呂でのぼせちゃったみたいで。今は部屋で寝てるよ」
そう答えると、おばあちゃんはきょとんと目を瞬かせた。
「あの子、そんなに風呂好きだったかしら?」
……まずい。
これ以上突っ込まれると、色々と説明が面倒だな。
「たぶん、今日はいろいろ疲れてたんでしょ。暑かったし」
適当に話を流しつつ、視線をテーブルに移す。
「ところで……こんな夜中に何してんの?」
話題を逸らすようにそう聞くと、
「ああ。これ?」
おばあちゃんはテーブルの上のノートを軽く指で叩く。