• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第5章 「境界に口づけて」


その瞬間



「」



低い声が耳元で響いた。
五条の手がの肩を押し止める。



「……どうしたの?」



驚きと警戒が混ざった声。
それでやっと、自分が何をしようとしていたのかを理解した。


(――っ!!)


全身が一気に冷えた。



「ご、ごめんなさいっ!」



弾かれたように後ろへ下がり、刀を落とす。
耳まで真っ赤になった顔を隠すように俯き、そのまま訓練場の出口へ駆け出した。


***


訓練場を飛び出し、は女子トイレに駆け込んだ。


洗面所の鏡に映る自分の顔は、赤く火照り、汗で濡れていた。
息は荒く、胸が痛いほど上下している。


(……何やってるの、私)


蛇口をひねり、冷たい水で顔を洗う。
でも頭の熱も、心臓の鼓動も収まらない。


(先生に……キスしようとした? 本気で……?)


思い出した瞬間、胃がひっくり返るような吐き気が込み上げた。


五条の――あの目。
驚いたように見開かれた瞳。
警戒と戸惑いが混ざった、あの一瞬の表情が、焼きついて離れない。


(……嫌われた)


両手で顔を覆い、歯を食いしばる。
自分が、どれだけ軽率だったか。どれだけ愚かだったか。



「……最低」



もう、顔を合わせられない。
どうしようもない自己嫌悪に押し潰されそうだった。


――そのとき。


鏡の奥から、声がした。


『……なぜ、拒む?』


は息を呑む。
恐る恐る顔を上げると――


そこにいた。


夢で見た、あの女。

/ 442ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp