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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第5章 「境界に口づけて」


授業が終わり、はノートを閉じながら深く息をついた。


その矢先。



「」



教壇から名前を呼ばれ、心臓が跳ねた。


(……名前、呼ばれた……)


ただそれだけで、胸の奥がじんわり熱くなる。
情けないほど単純だとわかっているのに、どうしようもなかった。


顔を上げると、五条が手招きしている。



「こっちこっち、ちょっと来て」



軽い声と仕草。
けれど、の全身は一瞬で固まった。


(……昨日のこと、言われる……?)


頭の中で最悪の可能性ばかりが巡る。
足が鉛のように重かった。


おそるおそる教壇に近づくと、五条はまったく気にしていない様子で言った。



「放課後、時間ある? 昨日言ってた呪具の訓練、やろうかと思ってさ」

「……えっ」



あまりに拍子抜けして、思わず声が裏返った。



「放課後、訓練場来てね」



にこりと笑うその顔が、眩しすぎて直視できなかった。



「は、はい……!」



かろうじて返事を絞り出す。
胸の奥で、昨日から続くざわめきがさらに大きくなっていた。



***


放課後。

はジャージに着替え、小太刀を携えて訓練場へ向かっていた。


(……二人っきりで特訓。緊張する。私の心臓……落ち着いて)


そう自分に言い聞かせても、足取りはどこかぎこちない。


深呼吸をして扉に手をかけ、ゆっくり開けた瞬間――


息が止まった。
心臓が、胸を内側から叩き割ろうとするみたいに跳ねる。


中には五条がすでに立っていた。


いつもの黒い制服ではない。
白のラフなシャツに、足元は軽やかなパンツスタイル。
そして、目隠しではなくサングラスをかけていて――


その隙間から、青い六眼がちらりと覗いた。


(……っ!)


胸がぎゅっと縮む。
顔が一気に熱くなるのがわかる。


普段は絶対に見えないはずのその瞳。
光を帯びたように鮮やかな青。
ただそれだけで、呼吸が崩れ、心臓が耳の奥で暴れ出す。


(なんで、制服じゃないの!?いつもの目隠しは?)


視線を逸らそうとするのに、できなかった。
まるで吸い込まれるみたいに、その青から目が離せない。


小太刀を握る手が汗でじっとりと濡れていく。
心臓の音が、自分の声よりも大きく響いていた。
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